NFLのスカウティングコンバインで行われるベンチプレステストは、選手の上半身の強さを測定する重要な指標です。このテストでは、225ポンド(約102kg)のバーベルを何回持ち上げられるかを競います。この記録は、選手の筋力や持久力を評価する上で非常に重要な役割を果たしています。
NFLコンバインでのベンチプレステストは、以下の手順で行われます:
一般的に、ポジション別の基準は以下のようになっています:
これらの基準は、各ポジションに求められる筋力と相関しています。
NFLコンバインでの歴代ベンチプレス記録は以下の通りです:
これらの選手たちは、驚異的な上半身の強さを示し、ドラフトでの評価を大きく上げました。特に、スティーブン・パエアの49回という記録は、10年以上経った今でも破られていない驚異的な記録です。
NFLレベルのベンチプレス力を目指すためには、効果的なトレーニング方法が重要です。以下に、プロ選手も実践している効果的なトレーニング方法をいくつか紹介します:
これらの方法を組み合わせることで、より効果的にベンチプレス力を向上させることができます。
ベンチプレスの記録が高いことは、必ずしも試合でのパフォーマンスに直結するわけではありません。しかし、上半身の強さは以下のような場面で重要な役割を果たします:
ただし、ベンチプレスの記録だけでなく、実際のフットボールの動きに即した筋力やパワーの発揮が重要です。そのため、多くのNFLチームは、ベンチプレステストの結果を他の測定結果や実際のプレー映像と組み合わせて総合的に選手を評価しています。
NFLのストレングス&コンディショニングコーチであるジョン・ロットの言葉を引用すると、「ベンチプレスの記録は選手の潜在能力を示す一つの指標に過ぎません。重要なのは、その力をフィールド上でどう活かせるかです。」
日本人選手がNFLに挑戦する際、ベンチプレスを含む身体能力の向上は大きな課題の一つです。日本人初のNFL選手となった大野均選手は、NFLでプレーするために徹底的なウェイトトレーニングを行いました。
最近では、京都大学出身の町野健太郎選手がNFLインターナショナル・コンバインに参加し、ベンチプレスで100kgを19回持ち上げる記録を残しています。これは、NFLの基準からするとまだ改善の余地がありますが、日本人選手の可能性を示す重要な一歩と言えるでしょう。
日本のアメリカンフットボール界でも、NFLのトレーニング方法を取り入れる動きが広がっています。例えば、Xリーグ(日本のトップリーグ)の選手たちは、NFLのトレーニング方法を参考にしながら、ベンチプレスを含む筋力トレーニングに励んでいます。
日本アメリカンフットボール協会のトレーニング指針
https://americanfootball.jp/training/
このリンクでは、日本のアメリカンフットボール選手向けのトレーニング指針が紹介されており、NFLのスタンダードを意識したプログラムが提案されています。
日本人選手がNFLレベルの身体能力を獲得するには、長期的かつ計画的なトレーニングが必要です。しかし、町野選手のような挑戦者が増えることで、将来的に日本人選手がNFLのコンバインで好記録を残す日が来るかもしれません。
ベンチプレスは上半身の筋力向上に効果的ですが、同時にケガのリスクも伴います。特に、重量を追求するあまり、フォームが崩れたり、無理な挙上を試みたりすることで、肩や胸の怪我につながる可能性があります。
NFLの選手やトレーナーたちは、以下のような点に注意してトレーニングを行っています:
これらの点に注意することで、ケガのリスクを最小限に抑えながら、効果的にベンチプレス力を向上させることができます。
アメリカンフットボールのケガ予防に関する詳細な情報
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/kenko/pdf/factsheets/factH3008.pdf
このリンクでは、日本スポーツ振興センターが発行しているアメリカンフットボールのケガ予防に関するファクトシートが公開されています。ウェイトトレーニングを含む、総合的なケガ予防の方法が紹介されています。
NFLの選手たちは、ベンチプレスを含むウェイトトレーニングを重要視しながらも、ケガのリスク管理にも細心の注意を払っています。これは、長期的なキャリアを築く上で非常に重要な要素となっています。
アマチュア選手や一般のトレーニー向けには、NFLレベルの重量にこだわるよりも、適切なフォームと段階的な負荷の増加を心がけることが重要です。また、定期的に専門家のアドバイスを受けることで、より安全で効果的なトレーニングを行うことができます。